対象製品 : IJCAD 2013 以降
大きなデータを扱う場合や性能の低いコンピュータで作業しなければならない場合に、CAD の設定をすることで表示や処理が早くなる事があります。この記事では、それらの設定について解説します。
図面ファイルの内容に比べファイルサイズが大きいと感じられる場合
長く編集されている図面ファイルでは、図面の内容に比べて妙にファイルサイズが大きくなっている事があります。この場合は、次の手順を実施して不要な情報をファイルから除去してみます。
- 画層プロパティ管理(_layer)コマンドを実行します。
- 全ての画層を表示し、フリーズ・ロックを解除の状態にして画層プロパティ管理を終了します。
- 不要な図形があれば削除します。
- 名前をつけて保存(_saveas)コマンドを実行して、別のファイルとして保存します。
* 念のため、元のデータとは違うファイルとして保存をします。 - 名前削除(_purge)コマンドを実行します。
- 「名前削除可能な項目を表示」、「ネストされた項目も名前削除」、「孤立したデータを削除する」を選択した状態にして「すべて名前削除」を実行します。(古いバージョンでは項目がない事があります。)
- 名前をつけて保存(_saveas)コマンドを実行して保存します。
ファイルサイズが小さいのに動作が遅いと感じられる場合
図形の数がそれほど多くないにも関わらず、画面移動や図形の選択が遅く感じられる場合は、次のことを試してみます。
図形選択が遅い時
グループ機能で作成された選択セットは、定義されている数が多くなるとCAD の図形選択スピードに影響を与えます。この場合は、グループの数を確認して定義されているグループを減らすことで改善を試みます。
- グループ(_classicgroup)コマンドを実行します。
(IJCAD2018以前の製品の場合は 「_group」コマンドを実行してください。) - オブジェクトグループ設定のダイアログの「名前無しを含める」にチェックを入れます。
- グループ名のリストから不要なグループ選択して、「分解」ボタンにてグループを解除します。
- 解除後に、動作が改善されているか、確認します。
線の太さ表示がオンだと遅くなる時
基本的にはコンピュータの性能によりますが、コンピュータの性能によっては IJCAD で線の太さ表示を ON にしている場合に描画処理に時間がかかる事があります。この場合は、線の太さ表示をオフにすることで現象を軽減することができます。
- ステータスバーの線の太さアイコンをクリックして、線の太さ表示をオフにします。
参照: 線の太さを表示するには
円・円弧表示の滑らかさ
円や円弧が多用されてる図面ファイル使用していて描画に時間がかかる場合、表示の滑らかさを荒い状態に設定することで、描画の処理を軽くすることが出来ます。
なお、滑らかさの設定は図面ファイルに保存されるため、ファイルごとに設定を確認します。
- IJCAD のオプションを表示する。
- 表示タブを開き、「円弧と円の滑らかさ」の設定を小さい値にセットする。
荒い表示となめらかな表示の例(滑らかさの設定:左=16、右=1000)
* この設定は、画面や印刷の表示上の粗さの設定となります。交点の算出などには影響しません。
特定のコンピュータだけで遅くなる場合
同じデータを異なるコンピュータで開いた時にある特定の機種でのみ遅くなる場合、それが同程度の性能を有したコンピュータである場合は、ハードウェアのドライバや OS または常駐ソフトウェアの設定を確認します。
- コンピュータのグラフィックスに関連したドライバを最新のものに更新します。
* 更新の仕方は、コンピュータのメーカーにお問い合わせ下さい。 - セキュリティに関連したソフトウェアのうち、常時ファイルやプロセスをチェックしているようなソフトウェアが動作している場合は、一旦そのソフトウェアを休止(またはアンインストール)させた状態で IJCAD を実行してパフォーマンスに差が出るか確認します。
* 設定の有無や方法については、そのソフトウェアメーカーにお問い合わせ下さい。 - コンピュータのメモリに空きがあるかどうかを確認し、空きがない場合は同時に起動している他のソフトウェアを終了するなど、使用可能なメモリを増やす対処をします。
RAM が 4GB 以上ある 64bit の OS で、32bit の IJCAD を使用している場合は、64bit 版の IJCADを使用してみてください。
保存する際に時間がかかる場合
上書き保存や自動保存が実行された時に、ファイルの内容に比べて時間がかかると感じられる場合は、以下の点を確認します。
- 開いているファイルが、ネットワーク先のサーバーやコンピュータのファイルである場合は、ネットワークのスピードや反応速度の遅さが原因になっている事があります。この場合は、一度実行中のコンピュータにファイルをコピーしてそのファイルを開いてみて下さい。
- オプション設定にある「インクリメンタル保存のパーセンテージ」が25以下になっている。
インクリメンタル保存のパーセンテージは、上書き保存・自動保存を素早く行うための仕組みです。この設定を25以下にした場合、保存時のファイルサイズが小さくなる反面、保存にかかるパフォーマンスが著しく低下して時間がかかるようになります。
この場合は、初期値の50に戻した上で、一度上書き保存してみてください。
特定の操作時に遅くなる場合
たとえば、ラスターイメージを参照している図面ファイルの視点を3D回転させた時に動作が遅いなど、特定の操作を行ったときだけパフォーマンスが良くないと感じられた場合は、操作の内容と図面ファイル、コンピュータの機種名(またはスペックの詳細)を添えて、サポートまでご連絡下さい。